今、東京上野で「生誕300年記念伊藤若冲展」が開催され、話題を呼んでいます。
伊藤若冲の代表作「動植綵絵」とは、読んで字のごとく「動物と植物を描いた彩色画」のことです。
「綵(さい)」は「彩(さい)」と同じで、元々、5色の美しい綾(絹織物)のことを意味しました。
- 綵とは、繊維や布が彩られたさまをいいます。
- 綵は彩と同じ意味です。
若冲は40歳代の画業の多くを、動植綵絵の制作に捧げ、京都の相国寺に寄進します。寄進状に「動植綵絵」の名が見られることから、おそらく若冲自ら認じた作品名でしょう。
寄進状には次のような内容が記されています。
「私は常日頃から、絵に尽力し、すぐれた花木を描き、鳥や虫の形を描きつきしたいと望んできました。また、かつて見た中国画の釈迦、文殊、普賢像の巧妙無比なのに感心し、動植綵絵二十四幅(※)をつくり上げることができました。
これは、決して世間の評判を得ようという軽薄な気持ちてなく、すべては相国寺に寄進し、寺の荘厳具の助けとなって、永久に伝わればという想いのゆえです」