イタリアンレストランの壁紙などに描かれている可愛い天使の姿。これはルネッサンスの巨匠ラファエロの描いたものです。
ルネッサンスの三大巨匠と言えば「レオナルド・ダヴィンチ」「ミケランジェロ」「ラファエロ」ですが、ラファエロは、ミケランジェロとレオナルドの二大巨匠とは年が離れていることもあり、彼らをとても尊敬し、しかも大きな影響を受けています。
才能にあふれる青年が、「ダヴィンチとミケランジェロ」という最高の天賦を目の当たりにできて、最高の時代に生まれたと言えるでしょう。
ラファエロは、2人の先輩天才の様式をいち早く受け入れ、しかも、単なるそれが模倣に留まらず、独自のレベルに昇華させていったのです。
そのため、「ラファエロはルネッサンスを完成させた」とか、長い美術史の中で『古典主義の完成者』と呼ばれたりもします。
兎にも角にも、誰が見ても文句無く「美しく」「調和していて」「優美」という印象を受けるのがラファエロです。
37歳で原因不明で亡くなったことが残念ですね。
そして、彼の死後、ラファエロの絵画は、ある種の完成形、美の規範と見なされました。
「ラファエロ前派」という言葉を聞いたことがありますか?
この言葉は、ラファエロが古典主義の完成であり、その後の絵画は、ただラファエロを追っているだけではないか?という批判から出来たひとつの美術運動です。
裏を返せば、それだけ、「ラファエロは完成された美」ということでしょう。
素人目に見ても、ルネッサンスの三大巨匠は、「もう、これ以上のものは生み出せないのではないか?」と思ってしまいます。また「ダヴィンチに一番近づいた男」と表現されることもありますが、時代によっては、ダヴィンチやミケランジェロよりも高く評価されていました。
その後、イタリア絵画は、ミケランジェロ的なマニエリスムの時代を経て、17世紀バロックのカラヴァッジョへとつながります。