次は、ゴヤが1792年に王立サン・フェルナンド美術アカデミーに提出した「美術教育についての報告書」です。
「私は、アカデミーというものは、排他的であってはならず、そこで自由に勉強しようと思う者に助力を与える以外のどのようなこともしてはいけないと断言いたします。
アカデミーは、子供の学校のように厳しい服装を強要したり、機械的な規則、毎月の賞、財政的な援助など、絵画という自由で高貴な芸術を卑しめるような、つまらなぬことは、いっさいこれを追放すべきであります。
また、デッサンの困難を克服するためと称して、形式的な幾何学や遠近法の勉強に時間を費やすべきではありません。
というのは、デッサンは、その素質と才能に恵まれた者に対しては、しかるべき時に自らその習得を要求するものだからです。デッサンの研究に習熟すれば、その他の芸術の知恵も自然に、容易に身に付くものです。
絵画においては何ら強要すべき規則もなく、すべての人に対してまるで奴隷のように同じやり方、同じ方法で学べと押しつけることは、(略)若い人には、ただ妨げとなるばかりだということを、私は事実によって証明できます。」