上村松園(うえむらしょうえん)画集

”一点の卑俗なところもなく”

上村松園(うえむらしょうえん)(1875- 1949年)(明治8年-昭和24年)は、明治・大正・昭和を生きた日本画家。古典の中の女性や、市井の女性たちの凛とした美しさを生涯描き続けた。

松園自身の言葉によれば

「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵」、

「真・善・美の極致に達した本格的な美人画」である。

松園が女性に人気が高いのは、男目線で描かれた浮世絵の色香に対して、女性の目線で、清澄な美しさが描かれているからなのかもしれない。

私生活では、生涯、結婚せず、長男(後の上村松篁)を産んだ。昭和23年、女性初の文化勲章を受ける。


晩年の上村松園
晩年の上村松園

下記、電子書籍の画像一部

上村松園「焔(ほのお)」大正7年
上村松園「焔(ほのお)」大正7年

光源氏の愛人・六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の姿。正妻の葵上に嫉妬して生霊となった姿である。

清らかな美人画を描き続けた松園が描いた、女の怨念の世界。

 

松園自身、

「なぜこのような凄絶な作品を描いたのか自分でも分からない」と語っている。

この作品は松園の評価をさらに高めることになった。これまで松園を「単なる美人画描き」としか評価していなかった人たちも、凄まじい情念が込められた松園のすごみに圧倒されたという。